本記事は、看護師が点滴ルート管理を確認するための一般的な知識整理です。個別症例の処置判断を代替するものではありません。実際の対応は、勤務先のマニュアル、医師の指示、薬剤の種類、患者さんの状態を優先してください。
特に、抗がん剤、昇圧薬、高浸透圧薬、高濃度電解質、TPNなど、血管外漏出時に重篤な皮膚障害や虚血を起こしうる薬剤では、施設の血管外漏出対応手順に従う必要があります。点滴ルートは「何日で交換」とだけ覚えるのではなく、何を交換するのか、トラブルがあるのか、投与薬剤は何かを分けて考えることが大切です。
この記事では、末梢静脈カテーテル/留置針を中心に、輸液セット、延長チューブ、三方活栓、ドレッシング、固定、刺入部観察、点滴漏れ時の初期対応を整理します。中心静脈カテーテル、PICC、CVポート、抗がん薬投与、在宅・施設特有の運用は、必ず施設手順を確認してください。
まず結論|点滴ルート管理は「何を交換するか」で分けて考える
「点滴ルート交換は何日?」と聞かれたとき、現場で混同しやすいのは、留置針そのもの、輸液セット/点滴ライン、延長チューブや三方活栓、ドレッシング材、固定テープが一緒に語られてしまうことです。
CDCの血管内カテーテル関連感染予防の推奨では、成人の末梢カテーテルは感染・静脈炎予防目的で72〜96時間より頻回に交換する必要はないとされる一方、成人で「臨床的必要時のみ交換」とすることについては未解決問題として整理されています。小児では臨床的必要時のみ交換とされています。また、輸液セットについては血液・血液製剤・脂肪乳剤・プロポフォールなどで交換目安が変わります。(疾病対策センター)
点滴ルート管理の早見表
| 対象 | 交換・確認の目安 | 見るポイント | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 末梢静脈カテーテル/留置針 | 成人では「72〜96時間より頻回な定期交換は不要」とされる。小児は臨床的必要時が基本 | 発赤、疼痛、熱感、硬結、腫脹、漏れ、閉塞、感染徴候 | 「72時間を過ぎたら必ず抜く」ではない。施設基準と患者状態を優先 |
| 輸液セット | 持続使用で血液・脂肪乳剤等を含まない場合、96時間より頻回に交換せず、少なくとも7日ごとが目安 | 汚染、接続部、滴下、エア、クレンメ、ポンプ設定 | 留置針と同じタイミングとは限らない |
| 血液製剤・脂肪乳剤使用時のライン | 通常ラインより短い管理。CDCでは投与開始から24時間以内の交換が示される | 専用ラインか、接続部汚染、投与開始時刻 | 輸血手順や脂肪乳剤の院内ルールを優先 |
| プロポフォール使用時のライン | 製造元推奨に従い、6時間または12時間ごと、バイアル交換時など | 投与開始時刻、交換時刻、ポンプ、接続部 | 一般輸液ラインと同じ扱いにしない |
| 透明ドレッシング | 濡れた、汚れた、剥がれたら交換。施設では週1回などの運用あり | 刺入部が見えるか、辺縁の浮き、皮膚障害 | 刺入部観察がしやすいが、浮き・湿潤は感染リスク |
| ガーゼドレッシング | 出血・滲出・発汗がある場合に使用されることがある。汚染・湿潤・剥がれで交換 | 刺入部が隠れていないか、圧痛、滲出 | 刺入部が見えにくいので観察方法を施設で確認 |
| 固定テープ | 剥がれ、汚染、ずれ、皮膚トラブル、テンションがあれば再固定 | ルートの牽引、屈曲、皮膚発赤、刺入部の見え方 | テープを重ねすぎると漏れや静脈炎を見逃しやすい |
| 三方活栓・接続部 | 輸液セット交換時や施設手順に合わせて交換。アクセス前は消毒 | 緩み、キャップ、血液付着、汚染、閉鎖性 | 接続部は管内性汚染の入口。毎回しっかり擦拭 |
| 刺入部 | 勤務ごと、ボトル交換時、患者訴え時、滴下不良時に確認 | 発赤、腫脹、疼痛、熱感、硬結、湿潤、漏れ | 「痛い」「しみる」「違和感」は重要なサイン |
| 不要になったカテーテル | 不要なら速やかに抜去 | まだ投与予定があるか、医師指示、施設基準 | 「念のため留置」を続けない |

この表は、CDCの推奨、厚生労働省関連の院内感染対策資料、日本環境感染学会系の教育資料、公開されている病院感染対策マニュアルを参照し、現場で混同しやすい対象ごとに整理したものです。施設ごとに運用が異なるため、最終的には勤務先の手順を優先してください。(疾病対策センター)
留置針・末梢静脈カテーテルは何日で交換する?
末梢静脈カテーテル、いわゆる留置針については、まず成人と小児で考え方が違うことを押さえます。
成人では、CDCの推奨で「感染と静脈炎のリスクを減らすために、末梢カテーテルを72〜96時間ごとより頻回に交換する必要はない」とされています。これは「72時間を過ぎたら必ず抜く」という意味ではなく、感染予防だけを理由に、72時間未満などの短い間隔でルーチン交換する必要はないという意味です。(疾病対策センター)
一方、成人で「臨床的必要時のみ交換」とする方針について、CDCのSummary of Recommendationsでは「勧告なし/未解決問題」と整理されています。国内の教育資料では、必要時交換と3日ごとの交換で静脈炎発生に差がない報告や、適切な観察により患者負担やコストを減らせるという整理も紹介されていますが、現場で採用するかどうかは施設判断です。(疾病対策センター)
小児では、CDCは末梢カテーテルを臨床的に必要なときのみ交換するとしています。小児は再穿刺の負担が大きく、固定や観察の難しさも成人と異なります。小児対応では、成人の「72〜96時間」の感覚をそのまま当てはめないことが大切です。(疾病対策センター)
ただし、留置時間に関係なく、次のような所見があれば対応が必要です。
- 発赤
- 熱感
- 疼痛
- 圧痛
- 硬結
- 腫脹
- 静脈炎を疑う所見
- 感染徴候
- 膿性分泌物
- 点滴漏れ
- 閉塞
- 滴下不良
- カテーテルの機能不全
CDCは、静脈炎、感染、機能しないカテーテルがある場合には末梢静脈カテーテルを抜去すること、また不要になった血管内カテーテルは速やかに抜去することを推奨しています。つまり、点滴ルート管理では「何時間たったか」だけでなく、いま安全に使える状態か、そもそも必要かを見ます。(疾病対策センター)
公開されている大学病院の感染対策マニュアルでも、成人では72〜96時間ごとの交換を望ましいとしつつ、静脈炎がなければ一定期間留置可能とする運用、小児では静脈炎などがなければ交換しない運用などが示されています。これは病院ごとの例であり、全国共通ルールではありません。だからこそ、単発勤務やブランク明けでは「この施設では留置針を何日で確認・交換するのか」を最初に確認する必要があります。(北海道大学病院)
輸液セット・点滴ラインは何日で交換する?
輸液セットや点滴ラインは、留置針とは別に考えます。現場では「ルート交換」という言葉が、留置針の刺し替えを指す場合もあれば、輸液セットの交換を指す場合もあります。
CDCでは、血液・血液製剤・脂肪乳剤を投与していない持続使用の輸液セットについて、96時間より頻回に交換しない、ただし少なくとも7日ごとに交換する、という目安が示されています。ここには二次セットや追加デバイスも含まれます。(疾病対策センター)
一方、間欠的に使用する輸液セットについては、CDCでは交換頻度に関する勧告は示されていません。したがって、間欠投与のライン、ロック後に再接続するライン、抗菌薬投与用ラインなどは、勤務先の感染対策マニュアルや薬剤別手順で確認します。
血液・血液製剤、脂肪乳剤、プロポフォールは、一般輸液と同じ扱いにしません。CDCでは、血液・血液製剤・脂肪乳剤に使用したチューブは投与開始から24時間以内、プロポフォール注入に使用したチューブは製造元の推奨に従い6時間または12時間ごと、バイアル交換時などに交換するとされています。厚生労働省関連資料でも、同様に輸液セット、血液・脂肪乳剤、プロポフォールの交換目安が整理されています。(疾病対策センター)
延長チューブ、三方活栓、ニードルレスコネクタなどは、単なる「おまけ」ではなく、管内性汚染の入口になります。CDCは、ニードルレスコンポーネントを輸液セットと少なくとも同じ頻度で交換すること、またアクセス前に適切な消毒薬でポートを擦拭し、滅菌デバイスでアクセスすることを推奨しています。日本環境感染学会系の教育資料でも、側管注の際にはポートを擦りながらしっかり消毒することが示されています。(疾病対策センター)
ルート交換時に確認したいポイントは、次の通りです。
| 確認項目 | 見ること |
|---|---|
| 投与内容 | 薬剤名、濃度、速度、投与経路、配合変化リスク |
| 交換対象 | 留置針なのか、輸液セットなのか、延長チューブなのか |
| 開始時刻・交換時刻 | ラベル、記録、ポンプ設定と一致しているか |
| 接続部 | 三方活栓、キャップ、ニードルレスコネクタの緩み・汚染 |
| 閉鎖性 | 外れや開放部がないか |
| 滴下・流量 | 自然滴下、ポンプ、閉塞アラーム、クレンメ位置 |
| 刺入部 | 腫れ、痛み、発赤、湿潤、漏れ |
| 固定 | ルートに牽引がかからないか、屈曲していないか |
| 患者の訴え | 痛い、しみる、冷たい、違和感がある |
輸液セットを交換したからといって、留置針も必ず同時に刺し替えるとは限りません。逆に、留置針を刺し替えた場合は、輸液セットや接続部の扱いをどうするか施設手順で確認します。
ドレッシング材と固定テープはどう考える?
ドレッシング材は、刺入部を保護しながら観察できる状態を保つためのものです。CDCは、カテーテル部位を滅菌ガーゼまたは滅菌透明半透過性ドレッシングで覆うこと、ドレッシングが湿った、緩んだ、目に見えて汚れた場合には交換することを推奨しています。短期CVCではガーゼドレッシングは2日ごと、透明ドレッシングは少なくとも7日ごとという目安も示されています。(疾病対策センター)
末梢静脈カテーテルでは、透明ドレッシングが使われることが多く、刺入部の発赤、腫脹、湿潤、漏れを見つけやすい利点があります。公開されている病院感染対策マニュアルでも、末梢静脈カテーテルの刺入部観察のために透明ドレッシングで固定し、剥がれや汚染がなければ週1回交換とする運用例が示されています。(北海道大学病院)
ガーゼドレッシングは、出血、滲出、発汗などがある場合に選択されることがあります。ただし、刺入部が見えにくくなるため、疼痛、圧痛、湿潤、発熱、滴下不良などがあれば、必要に応じてドレッシングを外して確認する手順が必要です。CDCも、透明ドレッシングであれば視診、ガーゼなど不透明なドレッシングでは圧痛などの徴候がある場合に部位を確認する考え方を示しています。(疾病対策センター)
固定テープで注意したいのは、刺入部を隠しすぎないことです。固定が不安だからとテープを重ねすぎると、漏れ、発赤、湿潤、皮膚トラブルを見逃しやすくなります。また、ルートにテンションがかかると、カテーテル先端が動き、疼痛、滴下不良、血管外漏出、抜去の原因になります。
実務では、次のような固定を意識します。
- 刺入部が観察できるようにする
- ルートに直接テンションがかからないようにする
- 延長チューブに小さなループを作り、動きの逃げを作る
- 関節部では屈曲による閉塞や抜けを想定する
- テープの端が浮いたら早めに補正する
- 皮膚が弱い患者さんでは、剥離刺激、発赤、表皮剥離に注意する
- 固定を強くしすぎて循環や皮膚を圧迫しない
- 患者さんの動作、寝衣、寝具、移乗時の引っかかりを確認する
高齢者、ステロイド使用中、浮腫、発汗が多い患者さんでは、固定の強さと皮膚保護のバランスが難しくなります。迷ったときは、施設で採用している皮膚保護材、ドレッシング材、固定方法を確認しましょう。
刺入部観察で見るポイント
点滴刺入部の観察は、単に「漏れていないか」を見るだけではありません。感染、静脈炎、閉塞、血管外漏出、固定不良、接続部トラブルをまとめて拾う観察です。
CDCは、カテーテル部位を定期的に視診または触診し、患者さんにカテーテル部位の変化や新たな不快感を報告するよう促すことを推奨しています。日本環境感染学会系の資料でも、挿入部位を定期的に観察し、異常があれば対応することが示されています。(疾病対策センター)

刺入部観察チェックリスト
| チェック項目 | 観察のポイント |
|---|---|
| 発赤 | 刺入部周囲だけか、血管走行に沿っているか |
| 腫脹 | 片側だけ膨らんでいないか、皮膚が張っていないか |
| 疼痛 | 安静時痛、投与時痛、触れると痛いか |
| 熱感 | 左右差、局所の熱感 |
| 硬結 | 血管に沿った硬さ、しこり、索状感 |
| 漏れ | ドレッシング内の液体、皮膚湿潤、寝衣の濡れ |
| 湿潤 | 発汗、浸出液、輸液漏れ、消毒薬残り |
| ドレッシングの剥がれ | 辺縁の浮き、刺入部露出、汚染 |
| 滴下不良 | クレンメ、屈曲、閉塞、刺入部腫脹との関連 |
| 逆血の有無 | 逆血なしは漏れの可能性の一つ。ただし逆血ありでも漏れを完全否定しない |
| 患者の訴え | 「痛い」「しみる」「冷たい」「違和感がある」 |
| ルートの屈曲 | 関節部、寝具、衣類、固定テープ下 |
| 固定のずれ | カテーテルの抜けかけ、ハブの浮き、ループ消失 |
| 接続部の緩み | 三方活栓、キャップ、延長チューブ、ポンプ側 |
逆血確認については、がん薬物療法に伴う血管外漏出ガイドラインでも、逆血がないことは血管外漏出の可能性を示す徴候になりうる一方、逆血があっても血管外漏出が発生していた報告があると整理されています。つまり、逆血は有用な情報ですが、逆血だけで安全・危険を判断しないことが重要です。
点滴漏れかも?と思った時の初期対応

点滴漏れ、血管外漏出、浸潤を疑ったときは、慌てて「抜く」「冷やす」「温める」「揉む」と決めないことが大切です。薬剤によって対応が異なり、施設手順に沿った処置が必要になることがあります。
基本は、止める・見る・薬剤確認・報告です。
点滴漏れ初期対応フロー
| 流れ | 行動 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1. 止める | まず投与を止める | 滴下不良や痛みがあるのに流し続けない |
| 2. 見る | 刺入部と周囲を観察する | 発赤、腫脹、疼痛、熱感、硬結、湿潤、皮膚色、範囲 |
| 3. 薬剤確認 | 何を投与していたか確認する | 抗がん剤、昇圧薬、高浸透圧薬、高濃度電解質、TPNなどは要注意 |
| 4. ルート判断 | すぐ抜くか、残して報告・吸引手順に進むか確認 | 薬剤や施設手順で異なる。自己判断で抜針しない |
| 5. 報告 | 医師、リーダー、薬剤師、施設の報告先へ | 夜間・施設・訪問では連絡ルートを事前確認 |
| 6. 処置 | 施設の血管外漏出手順に従う | 自己判断で温める、冷やす、揉む、強くフラッシュしない |
| 7. 記録 | 発見時刻、薬剤、量、部位、症状、対応、報告先を記録 | 写真、マーキング、経過観察の有無は施設手順に従う |
海外の小児系臨床指針では、血管外漏出時の初期対応として、投与停止、ラインをすぐ抜かない、患肢挙上、フラッシュしない、残存薬剤の吸引を試みる、薬剤・輸液の種類と腫脹範囲を評価するといった流れが示されています。ただし、これは施設や対象患者により異なるため、一般化して処置判断に使うのではなく、「投与停止後に薬剤と手順を確認する」考え方として参照します。(Royal Children's Hospital Melbourne)
抗がん剤の血管外漏出は、一般輸液の漏れと同じ扱いにしてはいけません。日本がん看護学会・日本臨床腫瘍学会・日本臨床腫瘍薬学会の合同ガイドラインは、がん薬物療法の血管外漏出を、入院・外来・在宅を含め安全管理上重要な有害事象として扱っています。冷罨法や温罨法についても薬剤や併用処置の文脈があり、温罨法を安易に行うことは推奨されません。(Mindsガイドラインライブラリ)
昇圧薬やカテコラミン製剤も注意が必要です。従来の対応と研究知見が揺れる領域があり、動物実験では温罨法で皮膚傷害が悪化し、冷罨法で皮膚傷害が認められなかったという報告もあります。だからこそ、昇圧薬の漏れでは「なんとなく温める/冷やす」ではなく、薬剤別の施設手順に従います。(J-STAGE)
現場でよくある迷いQ&A
Q1. 72時間を過ぎたら必ず抜く?
必ずではありません。成人の末梢カテーテルは、感染・静脈炎予防目的で72〜96時間より頻回に交換する必要はないとされています。ただし、施設が72時間、96時間、または臨床的必要時などの運用を決めている場合は、それに従います。発赤、疼痛、腫脹、漏れ、閉塞があれば時間に関係なく対応します。
Q2. 96時間を超えていても使ってよい?
施設ルールと患者状態によります。刺入部に異常がなく、ルートが機能し、留置継続の理由がある場合に継続を認める施設もあります。一方で、院内基準で交換期限を決めている場合は、その基準を優先します。
Q3. 点滴が終わったら留置針は抜く?
次の投与予定、医師指示、施設基準によります。今後使用しないカテーテルは、不要な血管内カテーテルとして早めに抜去する考え方が基本です。単に「念のため」で留置を続けないようにします。(疾病対策センター)
Q4. 輸液セットと留置針は同時交換?
必ず同時ではありません。留置針は患者さんの血管内に入っているカテーテル、輸液セットはバッグから患者さんまでのラインです。感染対策上の交換目安も別です。施設では「留置針交換時にラインも交換」などの運用があるため、勤務先手順を確認します。
Q5. ドレッシングが少し剥がれたら?
刺入部が露出している、固定が不安定、湿潤や汚染がある、剥がれが広がっている場合は交換・再固定が必要です。辺縁が少し浮いただけでも、感染リスクや抜去リスクにつながることがあります。施設の清潔操作で対応します。
Q6. 刺入部が少し赤いだけなら様子見?
「少し赤い」だけで決めず、疼痛、熱感、腫脹、硬結、血管走行に沿った発赤、滴下不良、患者さんの違和感を合わせて見ます。静脈炎や感染徴候が疑われる場合は、時間に関係なく報告・対応が必要です。
Q7. 逆血がなければ漏れている?
逆血がないことは、漏れや閉塞を疑う情報の一つです。ただし、逆血がないから必ず漏れているわけではなく、逆血があるから漏れていないとも言い切れません。刺入部、腫脹、痛み、滴下、固定、薬剤を合わせて判断します。
Q8. 点滴が滴下しない時は何を見る?
まずクレンメ、ラインの屈曲、患者さんの体位、刺入部、腫脹、疼痛、接続部、バッグ位置、ポンプ設定、閉塞アラームを確認します。強くフラッシュして流そうとすると、閉塞や血管外漏出を悪化させる可能性があります。原因が分からない時は報告します。
Q9. 患者さんが「痛い」と言ったら?
軽く扱わないことが大切です。投与中の痛み、しみる感じ、灼熱感、違和感は、静脈炎や漏れの早期サインのことがあります。投与を一時停止して刺入部とルート全体を確認し、必要時は報告します。
Q10. 抗がん剤の血管外漏出はどう違う?
抗がん剤では、薬剤により壊死、炎症、遅発性の皮膚障害が問題になります。日本の3学会合同ガイドラインでは、がん薬物療法の血管外漏出を安全管理上重要な有害事象として整理しています。自己判断で抜く、冷やす、温める、揉むのではなく、施設の血管外漏出フローに従います。(Mindsガイドラインライブラリ)
Q11. 介護施設で点滴を見る時は何を確認する?
点滴対応の範囲、医師指示、報告先、夜間連絡先、薬剤名、投与速度、漏れ・閉塞時の対応、抜針可否、記録方法、救急搬送基準を確認します。病棟と違い、医師や薬剤師がすぐ近くにいないこともあるため、事前確認が重要です。
Q12. 単発勤務前に確認すべきことは?
その施設での留置針交換目安、輸液セット交換目安、ドレッシング交換手順、三方活栓の扱い、点滴漏れ時の報告先、抗がん剤・昇圧薬・高浸透圧薬の有無を確認します。マニュアルの保管場所も最初に聞いておくと安心です。
Q13. ブランク明けで不安な時は何を復習する?
留置針と輸液セットの違い、刺入部観察、滴下不良の確認、固定方法、三方活栓の消毒、点滴漏れ初期対応を復習します。特に「逆血がない」「痛い」「腫れた」「滴下しない」の場面を想定しておくと、現場で焦りにくくなります。
Q14. 固定で刺入部が見えないのは問題?
問題になることがあります。刺入部が見えないと、発赤、湿潤、漏れ、腫脹を見逃しやすくなります。ガーゼ使用時など、どうしても見えにくい場合は、圧痛や患者訴え、必要時の視診手順を確認します。
Q15. 三方活栓の消毒で注意することは?
アクセス前に接続部をしっかり擦拭し、乾燥を待ってから接続します。血液付着、キャップ外れ、開放状態、緩みがないかも確認します。接続部は管内性汚染の入口になるため、短時間の側管注でも省略しないことが大切です。(疾病対策センター)
Q16. ルートにループを作るのはなぜ?
患者さんが動いた時、ルートにかかる力を逃がすためです。ループがないと、ハブやカテーテルに直接テンションがかかり、痛み、抜け、漏れ、滴下不良につながります。
Q17. 固定テープをたくさん貼れば安全?
貼りすぎは逆効果になることがあります。刺入部が見えない、皮膚が傷む、漏れに気づきにくい、剥がす時にカテーテルが動くなどのリスクがあります。必要最小限で、観察しやすく、テンションがかからない固定を目指します。
Q18. 高浸透圧薬や昇圧薬の漏れは一般輸液と同じ?
同じではありません。海外の臨床指針でも、細胞傷害性薬剤、高濃度ブドウ糖、マンニトール、高濃度カリウム、TPN、血管作動薬などは注意すべき薬剤として挙げられています。薬剤別に対応が異なるため、施設手順と薬剤師・医師への確認が必要です。(Royal Children's Hospital Melbourne)
単発勤務・お試し勤務前に確認しておきたいこと
点滴管理は、施設ごとのルール差が出やすい業務です。留置針を何日で交換するか、輸液セットをいつ交換するか、ドレッシングを誰が交換するか、点滴漏れ時に誰へ報告するかは、病棟、クリニック、介護施設、訪問系施設で異なります。
単発勤務やお試し勤務では、勤務開始時に次の4つを確認しておくと安心です。
| 確認すること | 具体例 |
|---|---|
| 点滴対応の範囲 | 刺入、抜針、ルート交換、滴下調整、ポンプ操作を担当するか |
| トラブル時の報告先 | 漏れ、閉塞、痛み、発赤、発熱時に誰へ連絡するか |
| マニュアルの場所 | 感染対策、血管外漏出、輸液ポンプ、抗がん剤、輸血手順 |
| 薬剤の種類 | 一般輸液か、抗がん剤、昇圧薬、高浸透圧薬、TPN、脂肪乳剤か |
いきなり長期勤務を決めるより、見学やお試し勤務で「この職場では点滴管理をどのように行っているか」を確認できると、不安が減ります。クーラでは、看護師が見学やお試し勤務から職場の雰囲気や業務範囲を確認し、自分に合う働き方を考えられます。点滴対応に不安がある場合も、事前に確認できる職場を選ぶことが大切です。
まとめ
点滴ルート交換は、「何日で交換」と丸暗記するより、次のように分けて考えると整理しやすくなります。
| 分けて考える対象 | 考え方 |
|---|---|
| 留置針/末梢静脈カテーテル | 成人では72〜96時間より頻回交換は不要。ただし異常時は時間に関係なく対応 |
| 輸液セット | 一般持続輸液、間欠使用、血液製剤、脂肪乳剤、プロポフォールで目安が違う |
| 延長チューブ・三方活栓 | 接続部汚染、消毒、交換タイミングを確認 |
| ドレッシング材 | 透明かガーゼか、濡れ・汚れ・剥がれがあるか |
| 固定テープ | 刺入部が見えるか、ルートにテンションがかからないか |
| 刺入部観察 | 発赤、腫脹、疼痛、熱感、硬結、漏れ、患者の訴えを見る |
| 点滴漏れ対応 | 止める、見る、薬剤確認、報告。自己判断で温冷罨法・抜針・揉むことは避ける |
点滴ルート管理は、感染対策、薬剤安全、患者さんの苦痛軽減が重なる看護技術です。迷った時ほど、留置針・輸液セット・ドレッシング・固定・薬剤を分けて見直し、施設手順に沿って対応しましょう。
参考文献・参考資料一覧
- CDC. Guidelines for the Prevention of Intravascular Catheter-Related Infections: Summary of Recommendations. 末梢カテーテル交換、輸液セット交換、ドレッシング、ニードルレスシステムの推奨を参照。(疾病対策センター)
- 厚生労働省関連資料. デバイス関連感染防止対策とサーベイランス. 皮膚消毒、ドレッシング、カテーテル交換、輸液セット交換の整理を参照。
- 日本環境感染学会系教育資料. 血管内カテーテル関連血流感染予防. 挿入部観察、輸液セット、接続部消毒、末梢静脈カテーテル管理の整理を参照。(日本環境感染学会)
- 日本環境感染学会系教育資料. カテーテル関連血流感染予防策. 必要時交換と定期交換に関する教育的整理を参照。(日本環境感染学会)
- 北海道大学病院. 血管内留置カテーテル管理 感染対策マニュアル. 公開病院マニュアルの一例として、末梢静脈カテーテル、ドレッシング、輸液セット交換の運用を参照。(北海道大学病院)
- 日本がん看護学会・日本臨床腫瘍学会・日本臨床腫瘍薬学会. がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン2023年版. 抗がん薬の血管外漏出、逆血確認、冷罨法・温罨法の推奨を参照。(Mindsガイドラインライブラリ)
- Royal Children's Hospital Melbourne. Peripheral extravasation injuries: Initial management and washout procedure. 血管外漏出時の初期対応、薬剤リスク分類の考え方を参照。(Royal Children's Hospital Melbourne)
- 野里同ほか. カテコラミン製剤の漏出性皮膚傷害に対する罨法の効果に関する基礎研究. 日本看護科学会誌, 2021. 昇圧薬関連の罨法に関する研究知見として参照。(J-STAGE)