「医療事故を起こしてしまったときに備えて、看護師も賠償責任保険に入った方がよいのかな?どの保険がよいのか分からない」と迷っていませんか?看護師は患者さんの命に関わる仕事であるため、少しのミスが医療事故につながるおそれがあります。中には、看護師個人の責任を問われるケースも。今回は、看護師の損害賠償保険の内容や選ぶときのポイント、おすすめの保険を3つご紹介します。

看護師は賠償責任保険に入るべき?

結論からいうと、看護師は常勤・アルバイト・派遣であっても賠償責任保険に入っておくことをおすすめします。なぜなら看護師は患者さんに接する機会が多い職種だからこそ、医療事故を起こす当事者になりやすい傾向にあるからです。

医療事故は患者さんの命に関わる可能性もあるため、基本的に起こしてはならないものです。しかし、下図を見ていただくと分かるように、看護師は医師と同程度に医療事故の発生件数が多くなっています。

※ 公益財団法人 日本医療機能評価機構(2021年年報)より算出

それに対して、ヒヤリ・ハット事例は看護師が断トツに多く、医療事故につながるリスクが高いといえます。

※ 公益財団法人 日本医療機能評価機構(2021年年報)より算出

常勤でなくアルバイトや派遣看護師であっても、個人の責任を問われるケースがあります。医療機関で病院向けの賠償責任保険に加入している場合もありますが、保険会社によって補償内容はさまざまであり、従業員までは対象とならない場合もあります。万が一の備えとして、自分の身を守るために個人で賠償責任保険に加入しておいた方が安心でしょう

看護師向け賠償責任保険の補償内容

看護師の賠償責任保険とは、看護業務の中で発生した損害賠償責任を補償するための保険です。補償内容にはいくつかの種類がありますのでご紹介します。

  1. 対人事故

対人事故に対する補償とは、患者さんなどにケガをさせてしまった場合などの損害賠償金等を補償するものです。たとえば、患者さんに誤った薬剤を投与して身体に影響を与えてしまったり、処置中にケガをさせてしまった場合などが対象となります。

  1. 対物事故

対物事故に対する補償とは、業務中に誤って患者さんの私物や病院の機材などを紛失、破損、汚損した場合の補償です。たとえば、患者さんのメガネを誤って落とし壊してしまった場合などが対象となります。

  1. 人格権侵害

人格権侵害とは、患者さんと対応する中で名誉毀損、人格否定、情報漏洩について責任を問われた際の補償です。たとえば、患者さんと何気なく会話する中で「人格を傷つけられた」と相手側は捉えてしまい訴えられる場合もあります。

  1. 初期対応費用

初期対応費用とは、医療事故が発生し責任の有無などが未定の段階であっても、社会通念上妥当と思われる費用の補償です。たとえば、身体障害をともなう事故発生時の見舞金、事故原因・状況の調査費用などがあります。

看護師向け賠償責任保険を選ぶときのポイント

看護師向け賠償責任保険はさまざまな保険会社が取り扱っているため、選ぶのに迷ってしまう人も多いと思います。そこで、看護師向け賠償責任保険を選ぶときのポイントをご紹介します。

  1. 補償額や保険料を確認する

賠償責任を問われた時に受けられる補償額は、各保険によって異なります。「訪問看護なので、対物補償を手厚くしたい」など、自分の業務内容に合った補償額を受けられる保険を選ぶとよいでしょう。

年間で支払う保険料は負担に感じない金額のものを選ぶことをおすすめします。

  1. 補償内容やサポート体制を確認する

補償内容サポート体制は各保険によって異なるため、内容をしっかりと確認することが大切です。対人・対物補償、人格権侵害、初期対応費用は、ほとんどの保険に含まれていますが、感染症にかかった際の見舞金制度などを設けている保険もあります。

医療事故が発生した場合、どのように対応したらよいか分からずに戸惑ってしまうことが多いと思います。保険会社によって相談窓口を設置しているところもあるため、加入前に確認しておきましょう。

看護師個人で加入できるおすすめの賠償責任保険3選

看護師が個人で加入できる賠償責任保険のうち、おすすめの保険を3つご紹介します。

  1. 人気No.1の日本看護協会の保険

保険料は年間2,650円と安く、補償内容とサポート内容が充実している日本看護協会の保険は人気が高いです。対人・対物補償などの他に、弁護士費用の補償、けが・特定感染症または針刺しなどの職業感染事故の見舞金制度も含まれています。また、医療事故やハラスメント相談窓口も設置されているため、いざという時のサポートが手厚くなっています。

ただし、看護協会の会員を対象としているため、現時点で入会していない人は新たに入会する必要があります。大阪府在住の看護師の場合、初年度に30,000円(日本看護協会年会費、大阪府看護協会入会金+年会費)を支払わなければなりません。看護協会に入会するかどうかも合わせて検討してみるとよいでしょう。

  1. 補償内容が充実しているWillnextの保険

補償内容が充実しているWillnextの保険もおすすめです。保険料はプランによって年間2,980円または3,440円とお手頃な価格です。対人・対物補償などの他に、患者さんから預かったものを紛失した場合の補償もついています。また、弁護士無料相談、感染症または針刺しなどの職業感染事故の見舞金制度も含まれています。

補償内容が充実しているため、看護協会に入会していない人はWillnextの保険を検討してみてもよいかもしれません。

  1. 最も安いナース専科の保険

保険料が最も安いナース専科の保険もおすすめです。補償内容は、対人・対物補償、人格権侵害、初期対応費用のみですが、保険料は年間1,580円と低価格になっています。最低限の補償内容があればよい方や保険料を抑えたい方にとっては利用しやすい保険です。

職場での業務内容とどのような補償を受けたいのかを明確にすることで、どの種類の賠償責任保険に入るべきか選びやすくなるはずです。ご紹介した賠償責任保険以外にもさまざまな保険がありますので、自分に合った保険を選びましょう。

まとめ

看護師は患者さんと接する機会が多くあります。医療事故は起こしてはならないですが、ヒューマンエラーを防ぐことは難しく、どれだけ注意を払っても医療事故が起こらないとは言い切れません。看護師賠償保険は、万が一のときに看護師個人を守ってくれるものです。看護師の仕事に集中して臨むためにも、保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか?