今回、JCHO大阪病院の看護部長 谷岡美佐枝様にお話を伺いました。2014年に大阪厚生年金病院から地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院となり、より地域に寄り添った地域医療支援病院として大阪の医療を支えています。

貴院の文化について教えてください

今年度、新しく「パーパス」「ミッション」「ビジョン」「クレド」の4つからなる、当院の理念を立てました。

パーパスは、当院が存在する理由です。「より最適な医療とあたたかい心であなたと地域を支える」ということを掲げています。

ミッションは「一人ひとりに寄り添って、より最適な医療を目指す」「専門的かつ高度な医療技術を提供できる体制を確保し続ける」など、パーパスを実現させるための具体的な内容を掲げました。

ビジョンは、2030年を目指して、「職員・患者様・地域の皆様に、私たちの病院を選んでもらってよかったと思える病院を作り上げる」ということです。

そして、クレドは行動の指針です。5つの指針とプラス「小さな一歩」で、頭文字をとって「明日の姿勢+」をかかげています。

(あ)・温かさ

(し)・真摯

(た)・対話

(し)・支える

(せい)・成長

(+)・小さな一歩

これは、小さな1歩が集まれば1,000歩になる、という考えのもと、当院の職員1,000人全員にアンケートを取ることから始めたものです。その上で、患者さんご家族、地域の住民の皆様方にもご協力を仰ぎ言葉を紡いでいきました。

JCHO大阪病院の地域における役割を教えてください

JCHOは、地域医療機能推進機構の略です。その名の通り、地域医療を推進していく役割があります。

年間5000台の救急車の稼働や、手術室・ICUといった急性期の医療に必要な設備が揃っており、大阪の急性期の医療を支えています。

「JCHO大阪病院があるから安心して生活することができる」「何かあればJCHO大阪病院に行くことができる」というように、地域の皆様に選んでいただき、幸せにつなげられることができる病院を目指しています。

JCHO大阪病院の看護師の採用方針や教育方針を教えてください

当院では看護師育成のテーマとして、「オートノミー」を掲げています。これは「自律」を意味します。

自らで考え、さらに考えたことを自らの言葉で表現できる、という看護師を求め、それにむけての教育体制を整えています。

当院は、ラダーレベル制をとっていますが、特徴的なのはレベル0を設けていることです。

レベル0とは新人看護師として働き始める前の学生のことを指します。

学生の時から病院としてしっかり教育をサポートすることを大切にしています。

学び始めてから現場での実践が伴った教育を受けることで、自身の看護と向き合うことができます。こうして、自分のしたい看護・できる看護を自分の口で発信することができる「自律」した看護師を育成していきます。

当院では、やりたい看護・得意な看護をご自身で発信できる、そんな看護師の方を求めています。急性期医療の領域に関心がある方、当院の理念に賛同して頂ける方、ぜひJCHO大阪病院でご一緒に働いてみませんか。

クーラでの時短・短期求人を、どのような目的で始めてくださいましたか

これまでの教育の方向性といえば、やはり新人看護師から段階的に育成していくというのが基本で、クーラのような多様な働き方を受け入れる機会はあまりありませんでした。

しかし若いナースたちは、組織へのコミットの考え方について新しい価値観を持っており、多様な採用方式、働き方も求めているんだということを感じています。若いときからナースを一貫して育てるということはもちろん今後も欠かせないことですが、これまでにないフレキシブルな形で、新しい価値・文化・メッセージを発信できる方に加わっていただけることは、当院全体の成長にも繋がる革新的なことだと考えております。

最後に、JCHO大阪病院ならではのエピソードを紹介してください

昨年の夏に、当院の近くで「なにわ淀川花火大会」がありました。COVID-19の影響で3年ぶりの開催ということになりましたが、当院は花火を見上げるのに絶好の川沿いに立地しており、テレビ取材も入って患者さんと看護師が一緒に花火を見ているという映像が撮られました。

看護師が患者さんの背中をさすりながら「きれいだね」と語り合っているのをみたのは、熱いものを感じた瞬間でした。

当院には、このようなコミュニケーションが自然ととれるスタッフがたくさんいます。

「寄り添える看護」ということを理念に掲げてきていましたが、それが本当にできていることを実感しました。

患者さんにも看護師にもそれぞれの物語があり、私たちはそのような「ナラティブ」を大切に考えている病院です。それぞれの語りを交わし合いながら、お互いが成長できる関係を大切にしていきたいと思いますね。