「小児科クリニックで働きたいけど、仕事内容が分からない」「小児科病棟で働いた経験はあるけど、クリニックの仕事は務まるだろうか」と思っていませんか?小児科クリニックの業務がイメージできないと不安ばかりが強くなり、転職・復職に一歩踏み出せなくなってしまうかもしれません。今回は、小児科クリニックでの看護師の仕事内容や病棟との違い、小児科クリニックの求人を探す方法についてご紹介します。

小児科クリニックにはどんな患者さんが来る?

小児科クリニックで勤務するにあたって、どのような患者さんが多いのか気になるかと思います。看護師の仕事をよりイメージできるように、小児科クリニックの患者層や代表的な疾患について理解しておきましょう。

小児科クリニックの患者さんの年齢層

小児科クリニックを受診される子どもは、産科を退院した生後7日以上の0歳児から15歳までが一般的です。ただし、かかりつけ医の診察を希望する場合など、20歳まで *1 は小児科で対応が可能とされています。

*1 参考:日本小児科学会ガイドライン

小児科クリニックでよくみる疾患

小児科クリニックでは、子どもがかかりやすい風邪・頭痛・便秘・湿疹・中耳炎などの症状で受診される方が多くなっています。子どもは感染症にかかりやすく、溶連菌感染症・水疱瘡・RSウイルス・感染性胃腸炎なども多いです。喘息・アレルギーなどの慢性疾患で定期的に通われるお子さんもいます。

病棟とは異なり、クリニックでは予防接種や乳幼児健診を行っているのも特徴です。

総合病院などの小児科に比べると、重症度は比較的軽い方が多いですが、子どもの発達や幅広い疾患への知識が必要となります。

小児科クリニックでの看護師の仕事内容

小児科クリニックの看護師は、以下のような業務を行います。

  • 問診
  • 医師の診療の補助
  • 処置(バイタルサイン測定、採血、点滴、吸入・吸引、浣腸など)
  • 乳幼児健診の計測、予防接種
  • プレパレーション
  • 家族への説明・指導
  • クリニックの清掃
  • 医療機器の滅菌消毒
  • 薬品や物品の発注・在庫管理
  • 電話対応
  • 季節ごとの院内の飾りつけ、プレイルームの整備 など

小児科クリニックでは多くの患者さんの対応にあたります。診察をスムーズに進めるために、問診で症状や重症度を確認することや、泣いたり暴れたりする子どもを落ち着かせることは看護師の役割です。

子どもと家族は症状や検査・治療に対して不安を抱きやすいため、言動だけでなく表情などからも気持ちを読みとり、不安を軽減できるように声掛けや説明などを行うことが大切です。帰宅後も子どもへの服薬や吸入などを継続的に行ってもらえるように、家族へ投薬の必要性や方法などを説明します。

小児科クリニックでは、病棟業務では行わないような事務業務も行う必要があります。物品の滅菌消毒や発注などに時間がとられますが、診療する上で必要な業務だと覚えておきましょう。

小児科病棟との違い

総合病院などの小児科と小児科クリニックのどちらに勤めるべきか迷っている人も多いと思います。小児科病棟と比べて、小児科クリニックにはどのような特徴があるのかをご紹介します。

  • ワークライフバランスを保ちやすい

小児科クリニックは夜勤がないため、ワークライフバランスを保ちやすくなります。そのため、育児や介護などで日中のみ勤務したい人でも働きやすいでしょう。クリニックは日曜日や祝日などに休診日を設けている場合が多いため、プライベートの予定を組みやすいことも利点です。ただし、風邪やインフルエンザが流行る季節は受診される方が多く、残業が発生しやすいため注意しておきましょう。

  • 平均給与はやや低くなる

小児科クリニックでは夜勤がなく、夜勤手当がつかないため、病棟と比べると平均給与は低くなります。病棟も含めた看護師の平均年収は508万円ですが、クリニック看護師の平均年収は460万円となっています *2。小児科クリニックの平均給与は、他の診療科クリニックと同程度といえるでしょう。

  • 幅広い知識と観察力が必要とされる

小児科クリニックは幅広い疾患を診ることに加えて、予防接種や乳幼児健診などの予防的な知識も必要です。子どもは症状をうまく訴えられないため、表情や機嫌などを観察し隠れた症状を読みとる必要があります。また、子どもの症状は増悪するスピードが早いため、重症の方は診察を早めるなど状況に合わせて判断することが大切です。

  • 子どもや家族と関わる時間は短くなる

小児科クリニックでは短時間で多くの患者さんを診察しなければならないため、一人ひとりに関わる時間は少なくなります。入院している子どもや家族とゆっくり関われる病棟勤務と比べて、クリニックでの患者さんとの関わり方にギャップを感じてしまう人もいるかもしれません。

  • 継続看護の機会が多い

地域に密着している小児科クリニックでは、子どもや家族と継続的に関わる機会が多くあります。慢性疾患を抱えている子どもなどはかかりつけ医として通院される方が多いため、診察時間は短いものの長期にわたって関わります。子どもの成長を見守りながら予防的なアプローチができ、病棟とは異なるやりがいを感じられるでしょう。

*2 参考:令和4年賃金構造基本統計調査

小児科クリニックの看護師求人の探し方

小児科クリニックは全国的にどのエリアにも設置されていますが、少ない職員で運営しており、欠員が生じた場合にのみ求人が出ることが多いです。そのため、効率よく求人を探すためには次の2つの方法をおすすめします。

  • 看護師派遣会社に登録する

自分に合う小児科クリニックを見つける方法として、派遣会社を活用するのがおすすめです。クリニック看護師の派遣の場合、派遣期間終了後に直接雇用することを前提にした「紹介予定派遣」が認められています。派遣先が自分とは合わないかもと感じたら直接契約を結ばないことも可能です。実際に働いてみて、仕事内容や職場の雰囲気、人間関係を知れるため、自分に合う職場かどうかを確かめられます。

  • 看護師の転職支援サイトを活用する

効率よく求人を探すためには、看護師の転職支援サイトを活用すると便利です。クリニックに欠員が生じるタイミングもさまざまであり、転職支援サイトを利用した方が多くの求人から自分の希望にマッチする職場を見つけられる可能性が高まります。転職アドバイザーを設けているサイトも多く、クリニックの雰囲気を教えてもらえたり面接対策なども実施しているため、相談相手がいて心強いでしょう。

まとめ

小児科クリニックは患者さん一人にかける診察時間は短いですが、地域に暮らす子どもや家族を長期に支える役割があります。クリニックは基本的に日中のみの勤務であるため、ワークライフバランスを保ちたい人やブランクからの復職を希望している人でも働きやすい環境です。自分に合う職場を探して、看護師としてのこれまでの経験をぜひ生かしてください。