「看護師を目指して大学や専門学校に通うために奨学金を借りたいけど、どこの病院がいいのか分からない」「奨学金縛りがあると聞くけど大丈夫?」と不安に思っていませんか?奨学金で金銭的なサポートを得られるのは心強いですが、奨学金を借りた病院に一定期間勤めることになるため就職先選びには失敗したくないですよね。今回は、看護奨学金の内容や奨学金を肩代わりしてくれる大阪府の病院についてご紹介します。

看護師の奨学金制度とは?

奨学金制度とは、経済的な理由などで学業の継続が難しい場合に、学費の一部を貸与または給付する制度です。看護奨学金の対象は、看護師・助産師・保健師を目指して看護大学や専門学校などに在籍している学生です。さまざまな種類の奨学金がありますが、書類選考や面接を受けた上で採用されると奨学金制度を受けられます。

奨学金の種類

奨学金には主に貸与型と給付型の2種類があります。

  • 貸与型

貸与型は在学中に一定額の奨学金を借りて、卒業後に決められた期間をかけて返すしくみの奨学金です。有利子や無利子などの種類があり、返済期間は長期に設定されているため、無理のない金額で返済できます。貸与型の奨学金は募集している団体が多く、採用されやすいのが特徴です。代表的な奨学金には、日本学生支援機構などがあります。

  • 給付型

給付型は成績が優秀な学生などに対して、在学中に一定額の奨学金を給付するしくみであり、返済する必要はありません。ただし、採用されるための審査に合格する必要があり、募集人数が決められていることが多いです。給付型の奨学金は対応している団体がいくつかあり、病院が看護学生に対して行っている奨学金は給付型にあたります。学費の一部を肩代わりしてもらえて、卒業後に該当する病院に一定期間勤めることで全額返済が免除されます。

看護学校の学費にかかる費用はどれくらい?

奨学金制度を利用できると分かっても、看護学校の学費にどれくらいかかるのか気になるかと思います。大阪府の看護学校には4年制の大学と3年制の専門学校がありますが、下図の初年度学費をみても、かなりの費用がかかることが分かります。

奨学金縛りって危険?

奨学金を利用できるのは金銭的にたすかるけど、一定期間その病院に勤めなければならない「奨学金縛り」を不安に感じてしまう方も多いと思います。奨学金制度はデメリットがありますが、メリットもあることを知っておきましょう。

病院が行っている一般的な奨学金制度では、一定期間勤めれば返済免除となります。たとえば、在学中に2年間奨学金を借りた場合は、その病院に2年間勤めることで返済免除となるしくみです。しかし、該当する期間途中で退職した場合は貸与額の残っている金額を一括返済するように求められます。また、病院の規定にもよりますが、入職後に短期間で退職した場合は全額返済となる場合もあるため注意しましょう。

ただし、体調を崩してしまい退職せざるをえない場合もあります。民法第628条には「雇用期間に定めがある場合も、やむを得ない事由があれば、各当事者は直ちに契約を解除できる」と定められています。そのため、決められた期間の途中でも仕事を辞めることは可能です。万が一に備えて、奨学金の一括返済が必要になることを覚えておきましょう。

奨学金制度を利用することで得られるメリットも多いです。1つ目は、奨学金を受けた病院で一定期間勤めれば返済が免除になること。看護学校は授業や実習が多く、時間的な余裕が少ないです。仮にアルバイトするとしても、時間的にも体力的にもとても大変です。奨学金を利用できることは金銭的なサポートを受けられるだけでなく、学業に集中できることにも繋がります。2つ目に、就職活動が必要ないことです。奨学金の採用試験に受かれば、卒業後にその病院に勤めることになります。看護学校の卒業前は、国家試験に向けて勉強しなければならないためとても忙しい日々。就活に時間をとられない分、心に余裕をもって国試の勉強に打ち込めるでしょう。

大阪で奨学金を肩代わりしてくれるおすすめの病院5選

大阪府で奨学金を肩代わりしてくれる病院はたくさんあります。万が一、就職した職場が合わなければ別の部署に異動することもできるため、なるべく大きい病院の奨学金制度を利用することがおすすめです。今回は、病院附属の看護学校以外の学生でも奨学金制度を利用できるおすすめの病院を5つご紹介します。

  • 地方独立行政法人 大阪市民病院機構

地方独立行政法人 大阪市民病院機構が行っている看護師修学資金貸与制度です。月額50,000円を看護学校の最終年次1年間に貸与できます。法人が管轄している大阪市立総合医療センター、大阪市立十三市民病院などで一定期間働くことで返済免除となります。中でも、大阪市立総合医療センターは大阪市の中核病院であり地域がん診療連携拠点病院でもあるため、高度な医療のもとで経験を積むことができるでしょう。

  • 近畿大学病院

近畿大学病院(大阪狭山市)でも修学資金制度を受けられます。卒業年度の看護大学生には月額50,000円、短大・専門学校生には月額35,000円を貸与しており、看護師免許取得後に一定期間働くことで返済免除となります。近畿大学病院は南大阪で唯一の大学病院であり地域の基幹病院でもあるため、高度な医療を学べます。大学病院のため教育制度もしっかりとしており、看護師としてスキルアップしたい人にもおすすめです。

  • 大阪赤十字病院

大阪赤十字病院(大阪市)にも奨学金制度があります。大学・短期大学・専門学校・高等学校に在学している最終学年の学生を対象に年間60万円を貸与しています。看護師免許取得後、2年間就労することで返済免除となります。大阪赤十字病院は、地域がん診療連携拠点病院などをはじめとする高度急性期病院や災害拠点病院を担っているため、就職後は看護実践能力を高められるのが特徴です。

  • 医療法人 徳洲会

医療法人 徳洲会では奨学金制度を設けています。看護師・保健師・助産師を目指す学生を対象に月額50,000円を貸与しており、グループ病院に一定期間勤めることで返済免除となります。グループ病院には八尾徳洲会総合病院、岸和田徳洲会病院、吹田徳洲会病院など10つの病院があり、救急医療や地域医療支援を担っている病院が多いです。大阪府内の広いエリアに対応・連携しており、自宅近くの病院で働くことも可能です。

  • 医療法人 錦秀会

慢性期の看護に関心がある場合は、医療法人 錦秀会の奨学金制度がおすすめです。採用された看護学生に300万円を限度として貸与しており、資格取得後に法人の関連病院に勤めることで返済免除となります。大阪市にある阪和記念病院、阪和病院や、堺市の阪和第二北病院など計5施設があり、急性期から慢性期まで幅広く対応しています。高齢化社会で地域医療の強化がますます求められているため、就職後は慢性期の患者さまへの看護支援などに貢献できるでしょう。

まとめ

病院で行っている奨学金制度は、一定期間勤めなければならない点に注意する必要がありますが、学費が高く授業や実習などで忙しい看護学生にとって金銭的サポートは強みになります。今回ご紹介した以外にも大阪府のさまざまな病院で奨学金制度が設けられていますので、金額や条件などをしっかりと調べた上で活用するか検討してみてください。他の奨学金と併用することもできますので、充実した学生生活にするためにもご自身に合った方法を選びましょう。